「メビウスの輪」の表側
福岡の某大学に通う学生が、日々のどうでもいいことを備忘録代わりに書き記したり、オリジナルの推理小説を中心とした様々な小説をを発表したりするブログです。
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余韻 ―死神くん『娘どろぼう』より―
このブログでは、主として自作小説の発表を行ってきましたが、

ちょっと他のこともやってみようかな、と思い立ち、ジャンルを問わず、

自分が気にいった作品のレビューを書いてみることにしました。

どれほど続くか分かりませんが、よろしければお付き合いください。

最初に取り上げるのは、やらない夫で死神くん『娘どろぼう』です。

当然のことながら、以下は作品の核心に触れることになりますので、

ネタバレを嫌う方は先に作品を一読されることをお勧めします。

作品単体では、決して長くはありませんので、サクッと読めると思います。

ただ、このレビューの目的は、死神くんを読んだことがない人に読みたい! と思わせることなので、

多少のネタバレは含むものの、先にこちらのレビューを読んでいただいても大丈夫にしているつもりです。

前置きが長くなりました、レビューに入りたいと思います。
この作品の肝は、間違いなくラストシーンの「余韻」にあります。

この作品は、僕の中で初めてAA化される前に原作を読んだ死神くんなのですが、

原作でも感じられた「余韻」が、AAで見事に再現されていたことに感動せずにはいられませんでした。

ラストシーンで娘が流した涙の意味、そして発したであろうセリフについては明記されていません。

いわば我々には、無限の選択肢が与えられているわけですが、

それゆえに我々は、彼女のセリフを慮ることができずに沈黙します。

それは決して、我々に与えられた情報が少ないから……ということではありません。

むしろ、彼女の気持ちを慮るための情報は十分に提示されています。

にもかかわらず、彼女の気持ちを慮ることができないもどかしさ。

悲しいとか、嬉しいとか、そんな単純な言葉で表すことができるものではない……

そこまではわかっても、それ以上は分からない「余韻」が我々に提示されるわけです。

この話だけを見て乱暴に結論付けてしまうなら、「余韻」とは、

十分な情報を与えながら、答えを提示しないことで生じるもの、と言えるかもしれません。

提示する情報を少なくしすぎてしまうと、それはただの作者の投げっぱなし、ということになります。

ですがこの作品は、そうはなっていない。

ここまで深い「余韻」を与えてくれた作品を、僕はそう多くは知りません。

AAの紙芝居なんて興味がない、という方も、一度騙されたと思って読んでみてください。

きっとあなたに、極上の「余韻」を与えてくれることと思います。


今回のレビューはここまで。

次回はいつになるかは分かりませんが、同じ死神くんシリーズの『心美人』を取り上げたいと思います。
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